
内装床のタイル施工
タイル張りにおける下地と構造の考え方
ここでは、木造軸組構造を代表例として説明しています。基本的な考え方は、枠組壁構造や鉄骨造にも適用できます。ただし、タイル張りに適した下地が健全に施工されていることが前提となり、下地の種類や階高、設計条件などによって適用の可否が異なります。
また、外装用途との併用が規定されているタイルは、寸法などについて比較的広い許容公差が設定されています。内装に使用する場合は、施工によって仕上がりの精度を確保するとともに、タイル自体の寸法公差を考慮し、ある程度ラフな仕上がりになることを前提としています。
木造軸組構造のタイル張り例

適用条件
適用範囲
| 項目 | 下地の適用範囲 | |
|---|---|---|
| 地域 | 一般地域 寒冷地域 | 建築基準法施行令 第128 条の3(内装制限)に適合し、告示1400 号に準ずる下地※1 |
| 適応建物 | 構造 | 木造軸組工法 / 木造枠組工法 / 軽量鉄骨造 / 鉄筋コンクリート造※2 |
| 高さ | 3m 未満 / 3mを超える場合は別途下地補強 | |
| 断熱材 | 外部に接する壁 | 充填断熱 / 吹付断熱 |
| 内部のみの壁 | 断熱材未充填壁(間仕切壁等) | |
| 下地組 | 種類 | 柱・間柱・大引・土台・根太 |
| 樹種 | KD材(日本農林規格JAS適合品)/ 建築用軽量形銅(JIS A 6517) |
※1 石膏ボード(JIS A 6901)、ケイ酸カルシウム板(JIS A 5430)を指しています。その他下地の内装制限については、別途お問い合わせください。
※2 鉄筋コンクリート造の内壁では、LGSの下地組に※1板体が施工された状態を指しています。
適用下地の種類
ここでは適用する下地の一例を以下に示します。各下地の取付方法については、内装工事標準仕様書(JASS 26)または製造メーカーの仕様に従ってください。
| 名称 | 品質・規格 | 直張り | 注意事項 | 補足事項 |
| 構造用合板 | JAS 600 | 〇 | 厚さ12.0mm以上 | 剛床構造含む |
適用接着剤の種類
| 区分 | 名称 | メーカー | 組合わせるタイルの種類 |
| 床 | タイルエース床用 | セメダイン(株) | 300角、630、 600角 |
内装床の施工手順

事前チェックについて
下地およびタイル工事は、内床の仕上がりに大きく影響します。下記の要領に基づき、下地およびタイル工事が正しく行われるよう、関係者間で事前に十分な打ち合わせを行ってください。なお、本マニュアルにはタイル工事業者の施工対象範囲外の内容が含まれます。
下地組の種類

下地の確認
- 下地の種類、施工法が正しく実施されているか確認してください。
- 下地に水濡れや雨染みがないことを確認してください。
- 下地にガタつきや変形がないことを確認してください。
- 下地の凹凸、ひび割れ、破損、著しい表面の汚染がないか確認してください。
- 釘やビスの突出や過度なめり込みがないか確認してください。
- 面精度は±1.0 ㎜/2m 以内を確認してください。
- 正しいタイル施工ができないと判断される場合は、監督者に報告し下地の調整をご依頼ください。
点検口および床設備の確認
- 点検口の位置や規格に変更がないか確認してください。
- 通気ガラリ、先付けの設備器具が取り付けられていることを確認してください。
付属工事の確認
- あらかじめ、タイルに干渉する水廻り設備、造作設備などの付属工事については、タイル張り区画の納まりを確認してください。
材料の確認
- 仕様通りの材料が必要量納入されていることを確認してください。
- 専用付属品が仕様通りに必要量納入されていることを確認してください。
- 材料の養生が適切に行われていることを確認してください。
- 材料の集積場所や養生方法について、事前に打ち合わせを行ってください。
安全工事の確認
- 現場の安全管理規定を遵守してください。
- 作業員は正しい服装をし、定められた保護具(ヘルメット等)を正しく着用してください。
- 作業終了後は、整理整頓と後片付けを確実に行ってください。
- 1日の作業量を考慮し、足場に上げた材料はその日のうちに使用し、翌日に持ち越さないようにしてください。
- 風などによる材料の落下防止対策を、毎日確認してください。
- 火災予防に十分注意してください。
- 接着剤の臭気が残らないよう換気措置を十分におこなってください。
作業場所の確認
- 内部足場、大工工事の部材などタイル張り工事の支障となる場合は、現場監督に申し出てください。
その他の確認
- 基準墨出しが完了していることを確認してください。
- 残材の処理方法(1カ所集積等)が決定されていることを確認してください。
割付け・墨出し
- 入隅部、他部材との取合いは 1~5 ㎜の隙間をあけてください。
- 端部に小さな切り物が入らないようにしてください。
- 小幅切断タイルとなる場合は、マモノW + 小幅W ÷ 2の切断タイルを検討してください。
付属部材の取り付け
- エアコンダクトや給気口はあらかじめ設置してください。タイル施工後の床面への穴あけは、下地とタイルを破損する恐れがあります。
- あらかじめ設計図や仕様書をよく確認してください。
タイル張りについて

切断加工
- グラインダーでの切断加工は多量の切粉が発生しますので、外部での加工または集塵機での塵埃飛散に注意してください。
- グラインダーでのカットにはダイヤモンドチップソーなどを使用してください。
- 押切カッターは、タイル端部が鋭利となるため、ヤスリなどで面取り加工処理してください。
接着剤の塗布
下地全面塗り
- タイルエース床用を下地に塗り付けた後、かき取るようにしてくし目を立ててください。
- かき取りはコテを下地面に対し45°~60°程度に傾けて下地が透けないようにかき取ってください。
- だんご(点付け)施工はしないでください。接着剤の硬化が遅くなり、剥離の原因となることがあります。
- 塗接着剤の付着面積を確保してください。タイル裏面積の90%以上です。
- 以下に塗布種類を示しますが、建築物の実況より検討してください。
■ 塗布施工法の選定例
| タイル種類 | コテ種類 | 塗布方法 |
| 300角、二丁掛けなど | 5ミリクシ目コテ | クシ目立て |
| 630 タイルなど | 5ミリクシ目コテ | クシ目立て |
| 600角など | 8ミリクシ目コテ | クシ目立て |
張付けのポイント



- スタップ・ジーエスを塗布する際は、他の部材を汚さないよう、あらかじめ養生シート等でしっかりと養生を行ってください。
- 接着剤が他部材に付着したまま放置すると、硬化後は除去が困難になりますので、必ず拭き取ってください。
- 板間の周囲は、段差が出ないように、しっかりと押さえ込んでください。
- 入隅部やサッシまわりなど、下地面でシーリング処理を行った箇所については、シーリング材の色が見えないようにスタップ・ジーエスで塗りつぶしてください。
タイルクリップ工法について

- 表面の段差や不陸を平滑に仕上げるために、「タイルクリップ工法」をご用意しています。必要に応じてご活用ください。
- スペーサークリップの厚みにより、接着剤の付着面積が不足するおそれがあります。クシ目コテの高さ種類を変更するなどして、接着剤の付着面積が十分に確保されていることをご確認ください。
- 「プラクサビ」による平滑化の工程では、タイルを上方向に持ち上げるため、接着剤の付着面積が不足する可能性があります。プラクサビを挿入する前に、タイルをしっかりと揉み込んで下地に密着させてください。
目地直し
- 目地直しは、タイル張付け後、速やかに行ってください。
- スタップ・ジーエスの硬化速度は気温などの環境条件によって変化します。特に夏期は硬化が早まるため、早めに目地直しを完了させてください。
- 目地直しの際にタイルを大きく動かしてしまい、目地に凹凸が生じた場合は、硬化前に目地鏝(こて)等で押さえ、平滑に整えてください。その際、タイル側面にスタップ・ジーエスが付着しないよう十分に注意してください。
- 裏面連結ユニットを使用している場合に目地直し・目地調整を行う際は、タイル張付け後に連結用ネットをカッターナイフ等で切断し、目地を調整してください。
- スタップ・ジーエスが硬化すると、目地幅の調整ができなくなります。硬化時間に十分ご注意ください。
目地処理
目地詰め
- 他部位を汚染しないよう養生してください。
- タイル張付け後、少なくとも1日以上が経過し、タイルが動かないことを確認し目地詰めを行ってください。
- 目地材は、製造メーカーの施工仕様に従ってください。
- シーリング目地とする場合は、P.10を参考にしてください。
- 目地詰めは、ゴムごてを用いた塗目地または目地ごて(目地詰め用チューブ)を用いた一本目地で行ってください。
- 目地材の締まりを見計らって目地ごてを用いて所定の深さにこば切りし、入念にコテ押えを行ってください。ただし、目地幅5mm以下の場合は、コテ押えを省略しても構いません。
- 目地詰め後、タイル面の清掃を行ってください。その際、他部材取り合い部などのシーリング処理を行う部分にはみ出した余分なモルタルを除去してください。
- 清掃は水洗いを原則とし、ブラシなどを用いてタイル表面に汚れが残らないように注意して行ってください。
- 目地材による汚れがはなはだしいときは、工業用塩酸30倍希釈液を用いて酸洗いを行ってください。この場合は、事前にサッシ等の金物の養生を行い、酸洗いののちにタイル面や目地部分に塩酸が残らないように、直ちに水洗いをしてください。
- 室内で大量の水が使用できないため、スポンジでのふき取りをしてください。
シーリング工事
サッシ回り、壁との継ぎ目(目地)にゴム状の防水材(シーリング材・コーキング材)を充填し、建物内部への雨水の浸入を防ぐ防水・ひび割れ(緩衝)対策工事です。
■ 材料
- シーリング材:POSシールLM(専用プライマー:MP-1000)
- ジョイナー:ハット型ジョイナー(MJ-100)、片ハットジョイナー(MJK-104)
- 充填工具:クリーンパックガン(STAPCG)
工事
事前確認
- シーリング材打設部分の目地幅が、約10㎜確保されているか確認してください。
- 養生テープにガムテープなどの粘着性の強いテープは、化粧面の剥離や、粘着材が残ったりしますので使用しないでください。
施工前の天候確認
- シーリング材の工事は晴天の日に行ってください。
- 前日が雨や雪の場合は、被着面が十分に乾燥している状態を確認の上、施工してください。
- 外気温が5℃以下、または被着面の温度が50℃以上の場合は、マスキングテープの粘着異常、シーリング材の硬化不良や発泡などの不具合が起きるので施工を中止してください。
- 万一天候があわない場合は、作業を中止してください。
被着面の清掃

- 被着面のゴミ、油分、水分はハケや布で除去した後、拭き取ってください。
- 被着面のゴミ、油分、水分は、シーリング材の接着不良になります。
バックアップ材またはボンドブレーカーの充填

- 目地幅は10㎜以上、目地深さは8~10㎜程度確保してください。
- シーリング材の伸縮追従性を確保するため、3面接着を防止できる専用ハット型ジョイナーを使用するか、目地幅にあったバックアップ材、またはボンドブレーカー(剥離テープ)付きハット型ジョイナーを使用し、正しく施工してください。
- 開口部、軒天部等、他部材との取り合い部の目地には、バックアップ材を充填して、3面接着を防止し目地深さを確保してください
マスキング養生テープ張り

- 目地の両側に沿ってマスキングテープを張ってください。この時シーリング材がスタップ・ボード表面にはみ出さない様、端からきちんと注意して張ってください。スタップ・ボード表面にはみ出すと、不陸の原因となりますので、注意してください。
- マスキングテープを張り付けて長時間放置すると、スタップ・ボード表面を損傷することがありますので、張り付け後2日以内でシーリングが硬化しないうちに剥がしてください。
- マスキングテープは粗面用を使用し、ガムテープなどの粘着性の強いテープの使用は避けてください。
プライマー塗布

- プライマーは、適切な刷毛(同梱)を使用し、塗り残しの無いよう均一に確実に塗布してください。シーリング材と同梱包のプライマーは、シーリング材本数に見合うロス込みの必要量です。残さずに全量を使い切ってください。
- プライマーの塗布後30分以上6時間以内にシーリング材を施工してください。
- 被着面以外には、プライマーが付着しないように注意してください。
- プライマー塗布忘れは、シーリング材の接着不良になります。
シーリング材の充填

- 目地幅に合わせたノズルで気泡、打ち残し、隙間なく目地の隅々まで盛り上げるようにシーリング材を充填してください。盛り上りが不足すると、接着充填不良になりますので注意してください。
ヘラ押え

- ヘラなどを用い、シーリング材を押し込むようにして表面を平滑にしてください。
- ヘラ押えは、シーリング材表面が硬化する前に行い、充填後30分以内が目安となります。
- ヘラ押えをしないと接着充填不良になりますので、注意してください。
マスキングテープ剥がし

- シーリング材が硬化しない間に、マスキングテープを速やかに棒切れ板などに巻き付けながら剥してください。
- マスキングテープ上にはみ出したシーリング材が、スタップ・ボード表面に付着しない様に注意して行ってください。
- シーリング材が完全に硬化しないうちに、振動や衝撃を与えないでください。
清掃・仕上りのチェック
- マスキングテープの糊、充填箇所以外に付着したシーリング材及びプライマーは拭き取ってください。
- 施工目地幅よりはみ出したシーリング材や、板表面に付着したシーリング材をそのまま放置すると、タイル面の不陸原因となりますので完全に除去してください。
- 充填作業終了後、目視にてシーリング材の打残し、表面の凹凸気泡などの仕上り状態をチェックしてください。
- 各工程、仕上り状態など、工事チェックリストを用いて確認しながら施工してください。
納まり図

部材保管・納入時の注意
■ 屋外(現場)に保管する場合

■ 保管
- 不具合の原因となりますので、濡らさないようにし、施工現場では必ずシートをかけて保管してください。
- 作業中は様々な粉塵が舞い散ります。タイルに付着すると取り除くことが困難です。作業中にもタイルを保護するなど粉塵が付着しないよう注意してください。
- 保管は原則、屋内の堅い水平な場所に保管してください。やむを得ず屋外に置く場合は、風雨を避けるため、ポリエチレンなどの防水シートで覆い、シ-トが飛ばないように養生してください。
- 地面に直接置かないで、パネルや角材を用いて飼木(かいぎ)をしてください。
- 日陰で風通しがよい場所に保管してください。

■ 取り扱い
- 車輛などでの運搬時は平積みをし、急ブレ-キ時の損傷を防ぐため、ロ-プを掛け、角には必ず当て板をしてください。
- クレ-ンでつり上げる時には、ロ-プによる損傷を防ぐため当て板を行い、損傷の無いようにしてください。
- 持ち運びは、垂直に小端立てにして運んでください。また、汚れた手で触らないように注意してください。
- 当てたり、落としたりして、角などを損傷しないよう十分注意してください。
- 汚れた手で触らないように注意してください。水濡れしたものは使用しないでください。
- 逆さ持ちや、側面を上方にしないでください。
- カッターナイフ等で開封する際は、製品を傷つけないよう注意してください。
床タイル施工要項
JAS19陶磁器質タイル張り工事の床タイル張りのポイントはこちらをご参照ください。
禁止事項
次のような部位での施工および使用はトラブルや事故の原因となるため禁止します。


















