施工

出っ張った角の納め方「勝ち負け」

DIYで壁を貼る時、悩むのが角の仕上げ方です。簡単にきれいに仕上げる方法を解説します。

コーナー部分のタイル貼りは難しい?DIYでもできる施工方法を解説します

タイルを壁に貼っていくと、角の出っ張りや凹みなど、「どうやって貼ったらいいの?」と迷う場所が出てきます。特に、出っ張った角を回り込んで隣の面に渡って貼りたい時は、見た目にもきれいに納めたいものです。

一部の壁用タイルには、角をきれいに仕上げられる「コーナー用(役物)」の製品が用意されています。でも、すべてのタイルに役物があるとは限りません。では、平らなタイルしかない場合、どうやって角を仕上げればよいのでしょう?

その時に考えるのが、「勝ち負け」という職人の考え方です。少し専門的ではありますが、角の仕上がりを美しく見せるための重要なポイントとなります。

ここでは、出っ張った角=「出隅(ですみ)」の納め方を中心に、この「勝ち負け」の考え方を紹介していきます。

出隅入隅とは

出隅・入隅とは

角といっても、出っ張った角とへこんだ角があります。

建築用語で、出っ張った角を「出隅(ですみ)」、反対に内側に向かってできる角を「入隅(いりすみ)」と呼びます。施工方法を調べる際にも使われるので、覚えておくと便利です。

「勝ち負け」って何?

タイルの小端とは。簡単な方法で角をきれいに仕上げる方法を解説します。

タイルの側面は「小端(コバ)」と呼ばれます。

タイルの表面は釉薬やプリントによって色柄が施されていますが、小端部分は素地(通常は土の色)が見えた状態になります。この小端をどちらの面に向けるかを「勝ち負けで決める」と言います。

※内部まで色が入った「フルボディカラータイル」は、小端部分も目立ちにくいという特長があります。

壁の角を仕上げる方法。簡単な方法で角をきれいに仕上げる方法を解説します。

この図ではタイルを少しずらして描いていますが、「勝たせる側」の壁を正面から見たとき、小端が見えないように収まっている様子を示しています。反対に「負ける壁」側から見ると、小端が見えている状態になります。

つまり、「勝つ壁」側がより美しく見えるように納める。それが「勝ち負け」の考え方です。

役物がなくても、この考え方を使えば、角の仕上がりをより美しく見せることができます。

では、「勝たせる側」とはどこか?

勝たせる壁とは。勝ち負けで角をきれいに収める時の勝たせる壁について。

「勝たせる側」とは、その空間の中で人の目にもっともよく触れる面のことです。たとえば、リビングであればテレビが置かれる壁面、玄関なら入口に立ったときに正面に見える壁面がそれにあたります。

逆に、廊下を通り過ぎるだけの面や、柱の裏側など、普段あまり目にしない場所は「負ける側」として処理しても問題ありません。よく目にする面を「勝ち」として仕上げることで、全体の印象が美しくまとまります。

納め方をクローズアップ

勝ち負けで決める壁の角の納め方。
勝ち負けで決める壁の角の納め方。小端の向きについて。

これは一方向へ小端を揃えた勝ち負けの代表的な納め方です。勝たせた面からは小端が見えず、小端が見える側は負けとしています。小端の色が気になる場合は、市販のタッチアップ材をご使用ください。

高度、でも一段と美しい納め方 ーもし手間をかけて一段上の張り方に挑戦したい場合ー

入り組んだ小端の向きで一段ときれいに見せる方法。

もし、手間をかけて一段上の貼り方に挑戦したい場合、交互貼り(馬踏み)で出隅を仕上げる方法はいかがでしょうか。

交互貼り(馬踏み)は写真のように「勝ち負け」を交互に組み合わせる方法です。手間はかかりますが、どの角度から見ても小端が入り組んでいる仕上がりです。この貼り方は、タイルがしっかりとかみ合うため強度が高く、非常に美しく仕上がります。

見切り材を使う納め方

見切り材を使った角の納め方。

※当社では取り扱いがありません

見切り材とは。

タイル同士の境目、端部、出隅、入隅などを美しく納め、隣り合わせたタイルに生じる段差や隙間を解消し、端部をきれいに納めることを目的に使われます。

金属(アルミなど)や樹脂、プラスチックなど、様々な素材があります。デザイン性がある色や素材を使うと、コーナーに印象的なデザインが追加され、空間全体のアクセントとして機能することもあります。

見切り材は、単なる仕上げ材としてだけでなく、タイルのデザインを引き立て、空間の完成度を高めるための重要な要素として活用されています。

コーナー役物がある製品を選ぶ

出隅部分に施工する際には、上記の勝ち負けで貼ることが最も簡単で一般的な納め方です。勝ち負け以外に、小端を斜め45度にカットしてぴたりと結合させる方法もあります。しかしこの方法は手間がかかるうえ、職人レベルの難易度です。

どうしても美しい角を作りたい。
そんな方には、あらかじめコーナー役物が用意されている製品を選ぶという選択はどうでしょうか。

コーナー役物とは、角部分に美しく納まるよう設計された専用のタイル部材で、通常の平物タイルと組み合わせて使うことで、施工が格段にスムーズになり、施工時間の短縮にもつながります。

また、コーナー部分に貼ることを前提にデザインされているため、角の見た目も自然で美しく、仕上がりのクオリティが高くなります。特に、角の仕上がりが目につきやすい場所では、こうした役物を使うことで、空間全体の完成度をさらに高めることができます。すでに製品としてコーナー役物が作られているものを選ぶことで、施工時間を短縮することが可能になります。

ー コーナー役物がある製品 ー

■ タイル
汚れに強いタイルは、耐久性が高く、色褪せもありません。室内はもちろん、屋外への設置にも推奨される素材です。門柱や玄関周辺、外構にもおすすめです。

コーナー役物がある壁用タイルのアーバングランド

アーバングランド

画期的に薄くて軽い大型タイル。洗練された都会的な印象を与える上品で高級感を与えるタイルです。出隅も選べ、施工性良く工期の短縮に効果があります。

コーナー役物がある壁用タイルのアーバングランドボーダー

アーバングランドボーダー

さり気ない石壁調の模様が入った天然石風のタイルです。ボーダータイプはおしゃれ感が上がる、シンプルな石壁を作ります。

コーナー役物がある壁用タイルのカノン2

カノン

重厚なテッセラ面状にフラット面をミックスし、軽やかにアレンジしました。面状差で、よりテッセラの存在感が引き立つデザインです。

コーナー役物がある壁用タイルのトリオン

トリオン

割石のようにデザインされたテッセラタイルで重厚感があり、3つの異なるサイズのボーダーを組み合わせてデザイン性の高い壁面を作ります。

リブテセラにもコーナー役物がある壁用タイルがあります。

リブテセラ

側面も美しく仕上がるフルボディ有色の無釉タイル。割肌面の荒々しさとタイルの厚み差によって生まれる上品な陰影が特徴です。

■ 天然石
大地の恵みから生まれた天然石は、ひと目でわかる重厚さと品格を備えています。年月とともに少しずつ風化し、自然素材ならではの味わいが深まっていくのも魅力のひとつです。

コーナー役物がある壁用天然石のダラットは、ダイナミックな割石が人気です。

ダラット スリム

割石を繊細に仕上げた細幅のレッジボーダー。手間を惜しまず積み重ねたその意匠は、凹凸の陰影がやわらかく溶け合い、ふわっと優しい壁面を作ります。

コーナー役物がある壁用天然石パネルのダラットは、ナチュラルで高級感ある空間に仕上げます。

ダラット モネ

石を割った野性的なデザインで、十分な厚みを持たせた凹凸が陰影を作ります。透明感ある大理石(RSグリーンのみ粘板岩)でカラー展開が豊富です。

コーナー役物がある壁用天然石パネルのボネットスリムは、角を美しく仕上げます。

ボネット スリム

経年劣化が少なく、長持ちするスレート石を割肌にしています。ゴツゴツしたデザインに野性的でかっこいい色合いが特徴です。

コーナー役物がある壁用天然石のボネットは唯一無二の大きな幅で高級感が上がります。

ボネット ワイド

極太のボーダーで作るワイルド石壁は、唯一無二のデザインです。圧巻の重厚感と大胆なデザインで、見る人の心に深く印象を残します。

コーナー役物がある壁用天然石パネルのカルモナです。門柱にもおすすめです。

カルモナ

硬質で美しい色合いが特徴の石英岩。優しい色合いのナチュラルデザインです。石材パネルの中では薄く、施工性が良いパネルです。役物を選ぶことが可能です。

コーナー材を使った施工動画

お問合せ・お見積り

コーナー材があると施工も簡単で、初めてでもきれいに仕上がるメリットがありますが、どうしても気に入った壁材に役物が無い場合でも諦めることはありません。勝ち負けの考え方さえマスターしていれば、仕上りはとても美しく完成します。

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